取引先向け(特に仕入先向け)の事業計画書とは?
'20.01.18事業計画書のの作成目的と対象者
事業計画書を作る目的と聞いて、どんなイメージをされますか?
- 創業する時
- 新事業を始める時
- 融資を受ける時
- 新年度(新しい事業年度)になった時
- 投資家を集めたい時
こんなシーンをイメージされる方が多いのではないでしょうか?
実際、弊所へご相談があるのも、創業融資を受けたい方、既に起業されていて新事業を始めるにあたり金融機関から融資を受けたい方、投資家を集めたい方というのが多いです。
このような目的で事業計画書の支援をさせていただくことが多いのですが、ご依頼の頻度は少なくても企業様にとって非常に重要な事業計画書の作成をお手伝いさせていただくこともあります。
それが「取引先向け(特に仕入先向け)」の事業計画書の作成です。
なぜ取引先向けに事業計画書を出す必要があるのか?というお話は後で記載いたしますが、同じ「事業計画書の作成」という言葉を使っても、これだけの目的があるのです。
書店や図書館などには事業計画書に関する書籍がたくさん出ています。インターネットで調べてみたら事業計画書のフォーマットもたくさんあります。お気に入りの事業計画書のフォーマットをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん、その事業計画書のフォーマットを否定するつもりは一切ありません。
しかし、事業計画書を作成される際に、機械的にそのフォーマットに「入れる」とか、そのフォーマットを「埋める」作業を行うのではなく、その事業計画書を作成する目的を考えてみていただきたいのです。
事業計画書を作成する目的が異なれば、事業計画書を読む対象者も異なります。融資目的なら金融機関さんが読まれますが、投資家を集める目的なら投資家が読みます。新年度になったから作成しているのであれば、従業員全員が事業計画書を読む対象者となるわけです。一般に公開されるような場合には一般消費者も事業計画書を読む対象者となりますね。
事業計画書を作る目的によって、事業計画書を読む対象者が異なる。
そうなのです。記載方法や記載内容が事業計画書を作成する目的や対象者によって変わってくるのです。
取引先向け(特に仕入れ先向け)の事業計画書とは?
取引先向け(ここでは仕入先を念頭に置いてください)に事業計画書を作成する意味は何でしょうか?
取引先から事業計画書を求められるから、という理由で作成される企業もいらっしゃるでしょう。
では、どのような場合に取引先は御社へ事業計画書を要求するでしょうか?またはどんな会社の事業計画書を読みたいと思うでしょうか?
取引先が大手企業である場合、取引の条件を定めたり、格付けを定めたりするのに事業計画書を求めるケースが考えられます。直接口座を開くか否か、取引の条件をどうするか、代理店制度がある場合には代理店として認定するか否かなどです。
取引先が中小企業の場合はどうでしょうか?
たしかに取引先が中小企業の場合、先方から事業計画書を出すようにもとめられることは少ないかもしれません。しかし、もしも買い手側が事業計画書を出してくれたなら、販売予測がたつので喜ばれるでしょう。そして毎年継続して事業計画書を出すと、今まで以上に強固な信頼関係が構築できます。すると、関連商品の情報が早く入手できたり、取引の条件が良くなったりする可能性もあるのです。特に取引条件が改善すれば、御社の売上アップに直結することになります。
取引先向け(特に仕入先向け)の事業計画書と融資目的の事業計画書との違いは?
取引先向けであっても、融資目的であっても、同じ事業計画書なので、記載内容で共通することはあります。しかし、事業計画書を作成する目的が異なれば、読む対象者が異なります。そこで取引先向けの場合と融資目的の場合の大きな違いについて記載します。
一番大きな違いは「返済予定の有無」です。融資目的の事業計画書の場合、この返済予定が非常に重要です。金融機関にとって貸したお金が戻ってくるかこないかが一番重要なので、当然のことでしょう。しかし、仕入先にとって御社は融資をする相手ではありませんので、「返済」という概念がありません。そのため、事業計画書にこの項目はありません。
では、取引先向けにあって融資目的にない項目は何でしょうか?
それは、取引先商品をどれだけ購入するかの推移や、その根拠です。仕入先にとって御社の事業計画書をよむ最大の目的は、「一体何をどれだけ買ってくれるの?」を知ることだからです。そのため、何をどれだけ購入するのか、そのためにこんな事業計画をしていますよ、と伝えるのが最大の目的となるわけです。
実際、ご支援させていただいた取引先向けの事業計画書のご評判がよく、嬉しく感じております。取引先向けの事業計画書の作成でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。