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VRIO分析とは?

'20.01.18

VRIOとは?

VRIO分析とは、1991年にアメリカのジェイ・B・バーニー(Jay B. Barney)教授が発表した経営資源に基づく戦略論をフレームワーク化したものです。VRIO分析とは、企業の競争優位性を判断するために、企業が有している経営資源を分析する手法で、VRIOとは、価値(V=Value)、希少性(R=Rareness)、模倣可能性(I=Imitability)、組織(O=Organization)の頭文字を取った用語です。

このVRIO分析により、企業内に存在する強みと競争優位性を見極め、新たな競争優位性を生み出したり、現在の競争優位性を維持向上させたりするための施策を講じていくことができます。

VRIOの4つの内容は以下のとおりです。

1.経済価値・・・市場において自社が有している経営資源に価値があるかどうかをみます。価値がなければ顧客が創造できない可能性がありますが、この価値を持てば企業競争力が高くなり、競合より優位に合ってる可能性が高くなります。

2.希少性・・・市場において自社が有している経営資源に希少性があるかどうかをみます。希少性が高ければ競合他社が参入しづらく、希少性が低ければ競合他社が参入しやすくなります。

3.模倣困難性・・・市場において自社が有している経営資源が真似されやすいかどうかをみます。真似されやすい経営資源だと、現在は自社が優位に立っていても、競合他社が真似して追いつかれてしまう、場合によっては追い抜かれてしまう可能性があります。模倣困難性の高い経営資源を持つと企業競争力がアップします。

4.組織体制・・・自社が有している経営資源を、有効に、最大限活用できる組織体制となっているかどうかをみます。今は経営資源が少ないとか、弱い経営資源しかなくても、持っている経営資源を最大限に生かせる組織体制を整えて、可能な限り強い競争力を有することが大切です。そしてより強い経営資源を育てていく必要があります。逆に、どんなに素晴らしい経営資源を有していても、それを活かせる組織体制が整っていなければ、その経営資源の本来の効果は発揮できず、宝の持ち腐れとなってしまう可能性があります。

VRIO分析のまとめ方

VRIO分析を行ったら、各々の結果をまとめていく必要があります。このまとめ方には、一覧表形式にする方法と、フローチャート形式にする方法とがあります。

・一覧表形式
フローチャート形式に比べて情報量は多くなります。つまり、施策を決めていくのに有用な情報が多く得られます。しかし、その分、1つ1つの経営資源を分析するのに手間や時間がかかってしまいます。

・フローチャート形式
フローチャート形式は、「NO」という判定が出ると、それ以降の評価を行いません。そのため、情報量は最低限となります。その分、1つ1つの経営資源を分析するのに手間や時間がかかりませんので、多くの経営資源を分析しやすくなります。

このように、一覧表形式にもフローチャート形式にもメリット・デメリットがありますので、これらを踏まえ、最適な分析を行い、その結果をまとめていくのが有用です。

VRIO分析の問題点

VRIO分析は知的資産の分析といえます。そのため、社会的価値を評価することが難しいという問題があります。

経済的な価値は数値化しやすく、良くも悪くも目に見えやすい分析となります。経済的な価値も目に見える数値だけで判断すると、足元をすくわれることもありますが、目安となる数値があるだけ、目標設定や評価をしやすくなるという点は否めません。

これに対して社会的な価値を評価するとなると、数値には出てこないため、主観が強くなる可能性も否めません。顧客や消費者に対する価値、社会に対する価値、その評価は人によって異なってくる可能性があるため、企業内で統一の基準を設けるなどして、同じ視点で評価し、議論していくこと必要があります。主観で評価したもので議論しても論点がずれてしまうからです。

次に、VRIO分析には、顧客ターゲットを絞っておかないと相反する結果が出てしまうという問題点があります。例えば、大量生産品でも構わないので安さを求める顧客ニーズもあれば、高価でもよいから手作り商品(または希少性のある商品)を求める顧客ニーズもあります。どちらの顧客ニーズに合わせるのかにより、多くの面で異なってきます。そのため、自社の商品サービスの性能、性格、特徴をしっかりと把握し、正しい顧客ターゲットに向けた施策を講じる必要があります。