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アンゾフの成長マトリックスとは?

'20.01.18

アンゾフの成長マトリックスとは?

アメリカの経営学者であるイゴール・アンゾフは、1965年に「戦略経営論」を出版しました。その中で、企業が経営戦略を立てる際に、狙う市場が既存か新規か、という軸と、企業が扱う製品が既存か新規か、という軸とで四つのマトリックスを作りました。このマトリックスのことをアンゾフの成長マトリックスといいます。

既存製品×既存市場=市場浸透戦略

既存の市場で既存の製品を販売することによって事業拡大を目指す企業は、市場浸透戦略を選択するのが有用です。既存の製品の購入客へ既存製品を販売するため、市場浸透戦略は、製品の購入量を増やしたり、製品の購入頻度をアップさせたりするために、製品の価格改定や広告戦略を実施したり、製品のサイズ変更をしたりなどする戦略です。

既存市場×新規製品=新製品開発戦略

既存の市場で新しい製品を販売することによって事業拡大を目指す企業は、新製品開発戦略を選択するのが有用です。新製品開発戦略は、市場ではなく、現在の製品に求められている機能に新しい機能や特質を加えることで差別化したり、新製品に付加価値を付けてアップグレードさせたりする戦略です。

既存製品×新規市場=新市場開拓戦略

既存の製品を新しい市場で販売しようとする企業は、新規市場開拓戦略を選択するのが有用です。新市場開拓戦略は、既存商品を販売するため、製品の役割を変えてターゲット客を変えたり、製品の販売エリアを変えたりして新しい市場の見極めつつ販売する戦略です。

新規製品×新規市場=多角化戦略

新しい製品を新しい市場で販売しようとする企業は、多角化戦略を選択するのが有用です。多角化戦略は、今までとは異なる製品を、今までとは異なる市場で販売するため、多くの点で変化することが求められ、リスクが高い戦略です。

多角化戦略には4つの種類があります。

1.同分野の多角化

これは同じ分野で事業を拡大させる多角化の方法です。例えば、洗濯機の製造メーカーが、洗濯機を購入した顧客に対して掃除機を製造販売するなど、顧客ニーズと関連した製品を販売するため、他の多角化の方法と比べて成功確率が高くなります。

2.関連機能の多角化

これは既存製品を製造しているメーカーがその販売まで事業展開する方法です。例えば、カレー粉の製造メーカーがカレー屋を出店するなどです。この場合、カレー粉の市場シェアとカレー屋の市場シェアを一気に拡大することができる可能性がある一方で、例えばカレー粉の製造過程で何か問題が発覚したりすると、カレー屋の市場も大きな悪影響を与えることになります。

3.経営資源集中化による多角化

これは既存製品や既存のチャネルに経営資源を集中させることにより、既存製品と関連付けた多角化を行う方法です。既存製品と関連づけられていいるため、顧客が店舗や商品に対して最初に抱く「信じない」という心理的なハードルを下げることができます。

4.無関係な市場への多角化

これは既存製品とまったく異なる市場へ参入する多角化の方法です。今まで築いてきた事業と無関係な市場への参入のため、リスクが高くなります。しかし、その多角化が成功した時には、既存の事業とは異なる事業が確立されるため、既存事業の市場が縮小するなどのリスクの回避策となります。

5.どの多角化がおすすめか?

アンゾフは、自社の状況を正しく把握し、それに合わせてトレンドを分析していくことを推奨していきます。なぜなら、上記4つの多角化戦略には一長一短があり、どれが一番良いというものではないからです。各社がどの多角化戦略を実施するかは、各多角化のメリットとデメリットを踏まえたうえで、自社の状況、外部環境をよく分析して決定すべきです。