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バリューチェーン分析とは?

'20.01.18

バリューチェーンとは?

バリューチェーンという言葉は、1985年にマーケルポーターが「競争優位の戦略」という書籍の中で使用した言葉です。バリューのチェーンということで、日本語では「価値連鎖」と訳されますが、マイケルポーターは、企業の事業プロセスが顧客に対してどのような価値を創造するのかを把握するために、企業の活動を主活動(現場活動)と支援活動に分類し、事業プロセスを分析することを提唱しました。

マイケルポーターのいう主活動(現場活動)とは、商品が顧客に届くまでの流れの各プロセスで商品に価値を付加していくことに関する活動を指し、支援活動とは、顧客へ商品を届けるまでの流れを支援する活動を指します。主活動(現場活動)には、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスというプロセスがあり、支援活動には、全般管理(インフラストラクチャ)、人事・労務管理、技術開発、調達活動というプロセスがあります。

例えば製造業の場合、購買物流とは原材料の仕入れおよび保管を、製造とは製品または半製品への加工を、出荷物流とは製品の出荷を、販売・マーケティングとは製品の販売を、サービスとは販売後のメンテナンスやアフターサービスを意味します。こうした各工程を支える支援活動が行われています。

一方で小売業の場合、製造業とは少し異なるバリューチェーンとなっています。購買物流に該当する部分が出店および仕入れ、製造に該当する部分が商品開発、出荷物流に該当する部分が中間業者への出荷、販売・マーケティングに該当する部分が広告宣伝やプロモーションや販売、サービスに該当する部分がクレームがあった場合の対応となります。

バリューチェーン分析のメリット

企業内で様々な活動の流れや相互のつながりを分析することにより、市場のニーズに柔軟に対応することが可能となります。そして、主活動を構成する各要素の効率を上げるか、競合他社との差別化を図ることで企業の競争優位が確立ができることがバリューチェーン分析のメリットですが、もう少し詳しく記述してみます。

1.企業の強みと弱みの認識

企業内の様々な活動の流れや相互のつながりを分析する中で、企業内に隠れている強みと弱みを把握することができます。つまり知的資産を認識することができるのです。企業内の強みがわかれば、それを今後どのように活かしていくのかを考えるきっかけになりますし、その企業が成功するための条件を把握することもできます。また、企業の弱みがわかれば、それをどのように解決するのか、すなわち、自社で解決を図るのか、それを強みとする他社と連携して解決を図るのかなどを考えていくきっかけになります。

2.競合他社との差別化戦略

市場は常に変化し続けています。今、市場ニーズが高くても、将来どうなるかはわかりません。そのため、競合他社の動向をつかみ、予測していくことは重要です。丁寧なバリューチェーン分析を行うことにより、自社と他社の強み・弱みを把握し、市場の状態やニーズの予測を行うことで、現在および将来の戦略について考えていく必要があります。

3.コスト戦略

バリューチェーン分析を行うことにより、各活動のプロセスが見えてきます。この各プロセスで高い付加価値を創出することができればよいのですが、コストという問題が出てきます。各プロセスごとに創出する付加価値とそれに伴うコストの関係を認識し、各プロセスと全体をみながらバリューチェーンを再設計する必要があります。また、コスト次第では市場で優位なポジションをとることも可能となります。

バリューチェーン分析のデメリット

バリューチェーン分析は、原則として現在の自社を分析することしかできません。ここがバリューチェーン分析のデメリットといえます。企業の経営は過去から現在、そして現在から将来にわたって流れています。そのため、まずはバリューチェーン分析で現時点の自社をしっかりと把握することは大切です。しかし、それだけにとどまらず、現在の強みや弱みを構築してきた過去と向き合い、過去のどのような活動が現在のこの強みや弱みと関連しているのか、そして現在のこの強みと弱みをどうすれば将来あるべき姿になっていくのかを考えていくことが重要といえます。