ブルーオーシャン戦略と戦略キャンバス・4つのアクション
'20.01.18ブルーオーシャン戦略とは?
ブルーオーシャン戦略とは欧州経営大学院のW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授が著したビジネス書の中の経営戦略論です。W・チャン・キム教授は英語版を、レネ・モボルニュ教授はドイツ語版を出されています。
ブルーオーシャンとは未開拓な市場を意味し、レッドオーシャンと対比して使われます。レッドオーシャンとは既存の市場を意味します。レッドオーシャン市場だと過剰な競争が繰り広げられて、苦戦するケースも多く見受けられます。つまり、レッドオーシャンだと価格競争に巻き込まれやすいのですが、ブルーオーシャンだとプライスリーダーになることができるのです。
マイケルポーターは競争戦略の中で、事業が成功するためには、「低価格戦略」または「高付加価値化による差別化戦略」のいずれかを選択する必要がある旨を示してきました。これに対して、ブルーオーシャン戦略では、以下で示すとおり、低コスト化と高付加価値化による差別化の両方について検討していきます。
ブルーオーシャン戦略とは、未開拓な市場なので、顧客へ新たな価値を創造して提供するものですが、新しい価値を提供したとしても、顧客を獲得・創造できるのか、という問題がでてきます。顧客を獲得・創造するためには、顧客から求められる独自性が必要で、一貫性や永続性も求められます。
こうした課題はあるものの、ブルーオーシャンを開拓した方がいいのはたしかです。では実際にどのように展開していけばいいのでしょうか?そこでここでは戦略キャンバスと4つのアクションという考え方をご紹介します。
戦略キャンバスとは?
戦略キャンバスとは価値の差別化と低コスト化を考える際の分析ツールです。横軸には製品の価格、機能、ブランド、デザインなど競争要因となる要素をとります。この横軸にとるものは顧客から見た提供価値となります。
縦軸には横軸にとった各要因に対する価値のレベルをとります。この縦軸は顧客が受けている横軸の各要因のレベルを示しています。
戦略キャンバスに描いた価値曲線が、横軸のどの部分に対しても縦軸が高い場所にプロットされる場合、ブルーオーシャン戦略には適しません。逆に、横軸の特定の部分に対して縦軸が高い場所にプロットされる場合ブルーオーシャンで主役となりえます。
4つのアクションとは?
ブルーオーシャン戦略は、低コスト化をすすめながら、顧客への提供価値をあげることにより、未開拓な市場を開拓していきます。では、どのようにしてコストを下げるのか、どのようにして顧客への提供価値を上げるのかを考えていけばよいのでしょうか?これを考える分析ツールの1つが4つのアクションです。4つのアクションは、4つの問いを通じて、今までの戦略を見直していくものです。
4つのアクションの問いは以下の4つです。
1.製品やサービスの要素のうち、取り除くものは何か?(Eliminate 除去)
2.製品やサービスの要素のうち、減らすものは何か?(Reduce 減少)
3.製品やサービスの要素のうち、増やすものは何か?(Raise 増加)
4.製品やサービスの要素のうち、新たに創造するものは何か?(Create 創造)
上記のうち1と2の問いについて考えると、取り除いたり減らしたりする要素が見えてきます。つまり、競合他社の製品やサービスと比較して、何を取り除き、何を減らすのかが見えてくるため、低コスト化につながります。
3と4の問いについて考えると、顧客にとっての価値が高まり、新たな需要を創造する要素が見えてきます。つまり、競合他社の製品やサービスと比較して、何を増加させ、どのような新しい価値を提供するのかが見えてくるため、顧客への提供価値の向上につながります。