ランチェスター戦略とは?
'20.01.18ランチェスターの法則とは?
ランチェスターの法則とは、1914年にフレデリック・ランチェスターが発表した戦争における兵法に関する法則です。ランチェスターの法則には第一法則と第二法則があり、第一法則は弱者のための戦略、第二法則は強者のための戦略と呼ばれています。
第一法則は一騎打ちの法則とも呼ばれています。実際に戦闘の場面を想定して考えてみましょう。例えば、Aチームには竹槍で武装した兵士が100人いるとします。このAチームと戦闘を行うBチームには竹槍で武装した兵士が150人いるとします。AチームもBチームも竹槍の性能が同じだと仮定すると、一騎打ちした場合、人数が多い方が有利となります。すなわち、Bチームの方が優位となります。
では、Aチームには竹槍で武装した兵士が100人いるとします。このAチームと戦闘を行うBチームには拳銃で武装した兵士が100人いるとします。この場合、どれだけ竹槍の性能が高くても、竹槍よりも拳銃の方が殺傷能力が高いため、同じ人数の兵士しかいなくても、性能の高い武器で武装しているBチームの方が優位となります。このように、戦闘力は兵士の数と武器の性能を掛け合わせたものとなります。
次に、第二法則は、集中効果の法則とも呼ばれています。第二法則における戦闘では、一騎打ち戦ではなく、一人が複数の兵士を同時に攻撃する戦闘を想定しています。この場合、各チームの戦闘力は、武器の質と兵士の数の二乗を掛け合わせたものとなります。
ランチェスター戦略とは?
ランチェスターの法則を企業の経営戦略に活用した理論です。日本では1970年代にオイルショックが起こり、不況の時代に入りました。その際、成熟市場にある企業がどうしたら勝ち残ることができるのかということを考えるのがランチェスター戦略です。
ランチェスターの法則における「戦闘力」を、企業の「営業力」と考えます。
ランチェスターの第一法則・・・戦闘力=兵士の数 × 武器の性能
ランチェスターの第二法則・・・戦闘力=兵士の数の二乗 × 武器の性能
これをランチェスター戦略にたとえるとどうなるでしょうか?
まず、戦闘力は営業力と置き換えることができます。そして兵士の数は営業担当者の数、武器の性能は品質、付加価値、開発力、技術力などの会社の強み(知的資産)などとなります。
では、実際に第一法則と第二の法則の使い分けはどのようにしたらいいのでしょうか?
第一法則は一騎打ち戦がベースとなっているので、小さなところでの戦いに利用します。つまり、狭い地域内で競争したり、特定の分野の商品サービスを提供したり、特定の顧客層をターゲット層にする場合などに利用します。
これに対して第二法則は広域戦などがベースとなっているので、第一法則と異なり広い地域で競争したり、広範な商品サービスを提供したり、広範な顧客層をターゲット層にする場合などに利用します。
大企業は人数も多く、資金も潤沢にあるため、第二法則の戦略をとり、圧勝することができます。大企業は、企業のブランド力や資金力などによって新たな需要を創造したり、広域な地域で戦ったりなどによって総合的に戦い、勝ち抜いていくことができます。
しかし小さな会社はこのような強者の戦略をとることができません。ありったけの人材や資金を投資したとしても、大企業と同じ土俵で勝ち抜くことはできません。そこで小さな会社が勝ち抜くためには差別化戦略をとることが優位と言われています。
つまり小さな会社はランチェスターの法則の第一法則を用いて特定のものに集中していく戦略をとることが有用です。小さな会社の人材を集めて特定の商品サービスに集中するとか、その販売を狭い地域に絞るとかなどです。
また、小さな会社は大手企業のようにブランド力を構築するのは大変な代わりに、ターゲット層の顧客と近づきやすいという強みもあります。ターゲット層の好む販売方法や志向を調査し、そこに合わせた経営戦略を築きやすいのは小さな会社の強みといえます。このことからも、ランチェスター戦略は小さな会社のための経営戦略と言われることもあります。