ローカルベンチマーク(ロカベン)で使う非財務の指標
'20.01.18非財務とは?
非財務とは、知的資産のことです。つまり財務諸表(決算書)の数字には出てこない会社の強みのことです。
そんな強みなんてあるの?と思われるかもしれませんが、経営者や従業員個々人が持っているノウハウや強み、経営理念や経営者の想い、技術力やネットワークなど、会社の経営を支えている他社との違いの部分なので、どの会社にもあります。
非財務の強みは決算書からはわかりませんので、会社と向き合って考えていただくことになります。この非財務の強みで企業の現在の姿を映し、
将来の可能性を評価します。
ローカルベンチマーク(ロカベン)は非財務を考える視点として、次の4つを挙げています。
- 経営者への着目
- 事業への着目
- 企業を取り巻く環境 関係者への着目
- 内部管理体制への着目
このそれぞれについてもう少し詳しく見てみたいと思います。
経営者への着目
これは、こんな視点で見ていきます。
- 経営者自身について、ビジョン、経営理念
- 後継者の有無
中小企業、特に小規模事業者になればなるほど、経営者が企業の経営に与える影響が大きくなります。すると、経営者の優劣が企業の優劣を左右する面が強いことになります。そのため、経営者へ着目し、経営者の想い、計画、経営者としての資質などを見ていきます。
現在、経営者の高齢化が社会問題化しており、事業承継できない、事業承継を望まない経営者も多くなっています。しかし事業の継続性という観点からすると、それは非常に残念なことです。事業の継続性を判断するために、経営者が高齢化している場合は特に、経営者の理念や事業を受け継いでいく後継者の有無が大切となります。
事業への着目
これは、こんな視点で見ていきます。
- 企業及び事業沿革
- 技術力、販売力の強み
- ITの能力、イノベーションを生み出せているか
企業の沿革は会社や経営者の歴史です。歴代の経営者がどのような理由でどのようなことを考え、どのようなビジネスを行ってきたのかということをたどっていきます。そのことで、会社が代々大切にしてきたこと、今の事業を行っている背景がわかります。これは現状を把握したり、将来の予測を立てるのに大切なこととなります。
技術力や販売力の強みを見出す過程で、課題も見えてきます。どのような技術力が強みなのか、どのような販売力で会社が支えられているのか、より強い会社にするためにどのような課題があるのかなどと向き合うこととなります。
人材不足が叫ばれる一方で、AI化するともいわれています。ITがまったくわからない、ITは関係ないとはいえない状況になってきています。ITを効率よく使って生産性の向上をはかり、働き方改革につなげることは多くの企業で必要とされることです。また、今まで以上にイノベーションの力も問われてきます。イノベーションを生み出す土壌があるのか、生み出せているのか、しっかりと考えていく必要があります。
企業を取り巻く環境 関係者への着目
これはこんな視点で見ていきます。
- 市場規模・シェア、競合他社との比較
- 顧客リピート率、主力取引先企業の推移
- 従業員定着率、勤続日数、平均給与
- 取引金融機関とその推移
どんなにうまくいっている企業でも、社会環境が変化した途端、うまくいかなくなるということはあります。その逆もあります。社会環境の変化を企業が把握しているか、それに合わせた対応ができているのか、競合他社と比べてどのような状況なのかを見ていきます。
顧客リピート率というのは、顧客満足度の現れの1つといえます。主力取引先企業がどのような理由でどのように変わっているのかを見ていくことで、企業規模の変化、関係資産の構築や維持を見ることができます。
人財ともいわれるとおり、従業員があってこその会社です。近年、特に若手従業員の定着率が低いと悩む企業も多いようですが、どのような待遇で、どのような従業員が、どの位長く定着しているのかを把握することで、企業の持続性や従業員の高齢化の有無などを見ることができます。
取引金融機関がどの程度企業を把握しているのか、取引金融機関とどのような関係を築いているのかなどを見ることができます。
内部管理体制への着目
これはこんな視点で見ていきます。
- 組織体制
- 経営目標の有無、共有状況
- 社内会議の実施状況
- 人事育成のやり方システム
小規模の企業になればなるほど経営者の力が大きくなり、経営者に一存してしまうケースが多いです。しかし、このようなケースでは、経営者に何かが起きると企業が回らなくなってしまいます。このようなことを避けるためにも、内部管理をきちんとしておく必要があります。この内部管理がきちんとなされているのか?ということを見ていきます。
企業に所属している人が同じ方向を見て日々の業務に励むことは非常に重要です。そのために経営目標や経営理念を掲げ、それを共有しているのか、ということを見ていきます。
社内会議はやればいいというものではありません。どのような目的で、どのような人が集まって、どのような内容の会議を行っているのかを見ていくことで、経営者や管理職の意向が見えてきます。
現在の従業員がいかに優秀であっても、企業の永続性のためには新しい世代の従業員を入社させ、育てていかなければなりません。そのため、人材育成のやり方やシステムを見ていきます。